御堂順の探偵事務所

みどうじゅんの たんていじむしょ

第二話 誰が財布を奪ったか

迷子の猫事件が起きて、二、三週間を過ぎた辺りだろうか?
新宿の街が急に騒がしくなってきたのは。
昨日も主婦の何人かが走り回るヤクザを見かけたとの事で、井戸端会議を盛り上げていた。
暴力団組員ったって、素人が見て、すぐ判るものではない。
それでも殺気だった雰囲気をまとった男達に、あぁ、あれは普通じゃないなと感じ取るぐらいは出来た。
加えて目つきが悪ければ、もうそれだけでヤクザ扱いなのである。
だから学校帰りの成実が御堂に告げたのも、近頃の噂になっているヤクザの話題であった。
入ってくるなり内履きに履き替えるのも、もどかしく、成実が話し始める。
「ガッコの友達も何人か見たって。大勢で何か名前を叫びながら、走り回ってたってよ?」
「マジかよ……」
そう呟いて、御堂は頭を抱えてしまう。
成実は所長を怪訝に眺めていたが、不意に気づいて事務所内を見渡した。
「……あれ?光一とトバっちは?まだ来てないの」
「光一は遅刻だが……まじィな、んな騒ぎになってんなら竜二を買い物になんざ行かせるんじゃなかったぜ」
「電話番を買い出しに?どして?」
成実の質問に、眉間に皺を寄せた所長が答える。
「あのヤロウが、どうしても居候は嫌だ、仕事をよこせってウルセェから、仕方なく行かせてやったんだよ」
そういえば竜二は事務所に来てから、ずっと電話番を渋っていたように成実も思う。
光一から聞いた話だと、雨の日、ボロボロになった竜二を担いで所長が戻ってきたらしい。
救急車を呼ぼうとしたら、本人が強く拒否反応を示した為、事務所で手当をしたそうだ。
以来なんとなく竜二は御堂探偵事務所に住み着いているが、御堂所長は彼を探偵業に連れ歩かず、常に事務所で留守番させていた。
「いい仕事なのになぁ、電話番。あたしでよかったら変わってあげてもいいのに」
「バーカ、おめぇなんざ俺が雇いたかねーよ」
即答な御堂に、成実はクチを尖らせた。
「なによ。現役JKがバイトしてあげるって言ってんのよ?もっと喜びなさいよね」
バイトしたがっている割に、何故か上目線である。
対する御堂も負けちゃおらず、上目線で言い返した。
「おめぇの経歴なんざどうでもいいが、バイト代は出ねェぞ?電話番如きに払う金なんざ、ウチには余っちゃいねぇんでな」
「え〜!トバっちの給料、払ってないの?」
成実の驚愕は当然だが、しかし御堂はクチを尖らせる。
「滅多にかかってこねぇ電話の番に、なーんで給料を支払わなくちゃならねぇんだよ?」
言っている側から電話がピピピと鳴り響き、咄嗟に成実が飛びついた。
「ハイ、御堂探偵事務所です。……え?お仕事ですか?」
横から御堂が受話器を奪い取り、話を続ける。
「失礼、電話変わりました。……ほう、ほうほう……ふむぅ」
「ちょっとォ!所長にお電話かわります、ぐらい言わせてよォ!!」
キーキー成実が横で喚くも、所長は電話に夢中で聞いちゃいない。
そこへ入ってきたのは、大幅にド遅刻してきた光一だ。
手には買い物袋を二つもぶら下げて、遅刻の原因を、これでもかってぐらい見せつけている。
「ちわ〜っす。あれ成実?今日は、お前のほうが早かったのか」
「光一、あんたは給料貰ってるわよね?」
いきなりの質問に目をパチクリさせながら、光一は訳もわからぬままに頷いた。
「え?う、うん。一応貰ってるけど、それがどうかした?」
「そうよね、貰ってんのよね……光一ですらも貰ってんのに……」
「え、ちょ、ですらって何?何の話?」
遅れてきた光一には、どうも話が飲み込めない。
さらには御堂が怒鳴りつけてくるもんだから、成実への疑問も四散した。
「おぅ、ド遅刻野郎!仕事だ、依頼が入ってきたぞ」
「え?え?仕事って、依頼ですか?」
光一は当たり前の事を尋ねて、御堂に頭をポカリと殴られる。
「あいたっ!」
「決まってんだろ。善良なる好青年が財布を奪われたそうだ、チンピラっぽい男にな。中身は既に使われちまった可能性が高いが、後で犯人からブン取れば大丈夫だろ」
聞きようによってはチンピラ並に外道とも取れる発言をかまし、御堂所長率いる一行は颯爽と出発した。
無論、好青年な依頼主が財布を奪われた現場に……である。


買い物の内容は、晩ご飯の食材とオヤツ。
それからトイレットペーパーを二袋。
どう考えても使いっ走りな仕事だが、竜二は、ささやかな幸せを感じていた。
アル中の親父。男と逃げた母親。
この家にいたのでは、幸せになれない――そう思って、家を出た。
それなのに気づけば喧嘩三昧な日々を送り、二十歳の初めで女ヤクザに気に入られて結婚。
殺伐とした抗争の最中、もっとデカイ組の大親分にも気に入られ、引き抜かれて片腕とされた。
全て自分の意志ではない。
大きな流れに流されるようにして、生きてきた。
例えるなら、御堂が事務所で鼻毛を抜いて過ごした時間の半分を、竜二は怒濤の勢いで通過したという事になる。
まぁ、御堂と竜二の人生を比較しても、この場合は意味がない。
「さて、と……あとは酒屋に寄って終了、か」
渡された買い物メモをチェックして、自転車のスタンドを蹴り上げる。
前の籠に食料の入ったビニール袋、後ろの籠にはトイレットペーパーを積んで、竜二の自転車は出発した。
自転車をこぎながら、それとなく竜二は周囲の風景に目をやった。
先ほどのスーパーで耳にした、オバチャン達の雑談が気にかかる。
朝からヤクザ風味の男達が走り回っていて、やぁね、この辺も治安が悪くなったワネェ〜。
……なんてことを、話していたのである。
もし探し回っているのが、あの人だとすれば、帰らなくてはいけない。
――不意に急ブレーキをかけ、竜二は自転車を降りた。
見過ごせない場面を目にしたからだ。
それは巧みに人の視線を逃れた場所、細い路地で展開されていた。
「か、返して下さァい……ッ!」
情けない悲鳴をあげているのは、グシャグシャに乱れた髪の男性だ。
歳の頃は二十、いや三十半ばぐらいだろうか。
結構いい歳をした大人のように思える。
男は顔を殴られたかしてパンパンに腫らし、垂れる鼻血も拭おうとせずに泣き叫ぶ。
その男の顔に蹴りを入れて、派手なシャツの男が革製の財布を開き、何枚かの万札を取り出した。
「おーお、たっぷり入ってんじゃん。こいつァ〜俺達が有効に使わせてもらうよ」
かつあげだ。いい歳した男が大人から暴力で奪い取っている。
あまり関わり合いになりたくない光景だ。
だが、竜二は声をかけていた。
「やめねェか」
「あァ?」
間髪入れず、かつあげしていた方が、いきり立って振り返る。
しかし次の瞬間、男と竜二のクチからは同時に驚愕が飛び出した。
「あ……あんた、竜二サン?」
「お、おまえ……どうして、ここに?」
見覚えのある――いや、あるなんてもんじゃない。
二人に関わったことを、竜二は後悔した。
咄嗟に踵を返した竜二の足に、財布を取られた男がすがりついてくる。
「ま、待って、助けて下さいッ!」
そいつを無下にも振り払って自転車へ駆け戻る竜二を、かつあげ男が追いかけてきた。
「ま、待って下さい、竜二サン!大親分が、大西サンが、あんたを」
すがる声も振り切り、竜二は力の限りに自転車をこぐ。
見る見るうちに二人とも後ろへ遠ざかり、ついには見えなくなった――


御堂探偵事務所に泣きついてきた依頼主の"好青年"は、見るも無惨な格好で待ち合わせの場所へ現われた。
誰に殴られたか、顔は青タン赤タン色鮮やかに腫れ上がり、両方の鼻の穴にはチリ紙が詰まっている。
赤く染まっているところを見るに、盛大に鼻血でも出したんだろう。
髪の毛も、服も、泥や生ゴミにまみれてグシャグシャだ。
おまけに目元は真っ赤に充血しており、頬には涙の跡がクッキリ浮かんでいた。
「オジサン、財布取られたぐらいで泣きすぎでしょー」
思わず成実が突っ込んでしまいたくなるのも、無理はない。
「成実、依頼主さんは暴力で奪い取られたんだ。泣いちゃっても仕方ないよ、ねぇ?オジサン」
年下の若造にまで慰められて、依頼主は、ぐっと下唇を噛みしめる。
「うるせぇ、黙ってろ二人とも」
二人の若造を黙らせると、改めて御堂は依頼主を上から下まで存分に眺め回した。
汚い格好だ。
だが家に帰って着替える暇もないほど、取られた財布には切迫した事情があるらしい。
「大河次郎さん……でしたね?」
「は、はい」
「財布を取られたってェのは、どの辺りで?」
「ガード西の先にある、居酒屋の裏です」
「あー、あそこね」と脳裏に地図を描いた成実が呟く。
「なるほど、ひとめにつかねェ店の裏先でブン取られた、と。あんた、そんなトコで何やってたんですかィ?」
御堂のもっともな質問に、大河は血走った眼で言い返してきた。
「そ、そんなことより財布を!早く財布を追って下さいッ」
依頼主の勢いにつられることなく、御堂は淡々と尋ねる。
「取られたのは、おいくらで?」
「は、八万円です……」
多すぎずもなく少なすぎずもなく、財布の中身としては妥当な量といえよう。
しかし、それにしても、どうだ。
大河の落ち着きのなさときたら、まるで一生の宝を奪われたのような狼狽えぶりである。
八万円だけが被害総額という訳ではなさそうだ。
御堂は、さらに突っ込んだ質問をする。
「他には?他に、何を入れていたんです。まさか札ビラだけってこたァ、ないでしょう?」
「カードやスイカも入っています……あれがないと、明日から通勤も出来ません」
そう答えた時、依頼主は少し声の勢いが落ちたので、光一はオヤ?と怪訝に思ったのだが、御堂所長は気づかなかったのか質問を続けた。
「至って普通のブツしか入ってねぇ財布を、チンピラ風情に奪い取られたわけですか……じゃ、あんたから財布を奪ったチンピラの詳しい風貌ってのを、お聞かせ願えませんかね?」
「ふ、服は……派手でした。アロハシャツっていうんですか?こう、赤や黄色の模様が入ったシャツで」
アロハシャツとは懐かしい。
今時、いい歳こいたオッサンでも着ないシャツである。
しかも、今は冬だ。まさか冬にアロハシャツ一丁、ということはないだろう。
大河の話によると、チンピラは革ジャンの下にアロハシャツを着込み、下は黒のジーンズ。
生え際には、気合の入ったソリもあったという。
「まさに、チンピラの中のチンピラね」
何を納得したのか成実が満足そうに頷き、光一も周囲へ視線を巡らせる。
「暴力団関係者かな?にしても、駅前に奴らが出てくるなんて珍しいねぇ」
「あら、そうでもないわよ。この辺りだって、ヤクザの手下が走り回ってたって噂だし」
成実の軽口に大河も反応する。
「あ、その噂なら私も聞いたことが……」
だが御堂は「判りました」と話途中で無理矢理締めくくり、連れの二人を促した。
「おい、チンピラの足取りを追いかけるぞ」
「追いかけるって、どうやって?格好しか分かんないのに」と成実は不服にクチを尖らせるが、光一は勢いよく頷いて微笑んだ。
「OK、ここは俺の出番ってわけね。任せといて下さいよ!」

新宿駅を西に出た先にあるガード下にて、一行は探索を開始した。
といっても成実と御堂は何もせず突っ立っているだけで、足下では四つんばいに這いつくばった光一が、ふんふんと道路の匂いを嗅いでいた。
端から見ると、奇怪なパフォーマーにしか見えない。
人通りの少なさに感謝しながら、成実がコソッと所長に尋ねる。
「こんな方法でホントに見つかると思ってんの?」
地味に聞き込みした方が早いんじゃないの、とは成実じゃなくても当然考えるはずだ。
応えたのは光一で「大河さんの匂いのついた足跡を探すんだろ?簡単さ」などと微笑んでいる。
「へぇ……鼻、いいんだ?」
呆れてジト目になる成実へ、振り仰ぎもせずに光一が答える。
「まぁね。警察犬より鋭い自信があるよ」
そのくせ「あー、夜ならもっと敏感にかぎ取れるんだけどなァ」と漏らした辺り、本当は自信がないのでは?
「鼻がいいのは女の子に対して、だけじゃないのね」
ガールフレンドの辛辣な毒にもめげることなく光一は執拗に匂いを嗅いでいたが、不意に、ぱぁっと顔を輝かせて立ち上がった。
「この匂い!」
「どうした、なんか見つかったのか?」
尋ねる所長に答えもせず、いきなり光一が走り出すもんだから。
「お、おいッ!」
泡を食ったのは御堂のみならず、成実も慌てて後を追いかける。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ光一!何処行くの?何を見っけたの!?」
尋ねても光一の答えはない。
そればかりか、前を走る彼の足の速いこと。
あっという間に背中を見失って、成実と御堂は道路の脇でへたばった。
「あ……ッ、あのバカ!俺達が一緒っての忘れちまいやがった」
「も、もぉ……っ、光一のバカ!あとで戻ってきたら、酷いんだからァッ」
息も絶え絶えに二人は喚いたが、走り去った光一に届くはずもなく、声は虚しく無人の道路に響き渡った。


新宿には、幾つもの細道が無数に存在する。
竜二が追い込まれたのも、そういった細道の一つで、奥は袋小路の行き止まりになっていた。
自転車は倒され、買ったばかりのキャベツや柿ピーの袋が散乱している。
足下で蹲るのは負傷した男達。
どいつもこいつもチンピラみたいなナリをして、顔や手足を押さえて呻いている。
全て竜二にやられた傷だ。
逃げ場を塞いだ男の一人が、何度目かの猫なで声を発した。
「なァ……いい加減、意地を張らずに戻ってきて下さいよ。あんたのこたァ、無傷で連れ戻せって命じられてんだ。これ以上手荒な真似はしたくねェ」
油断なく身構えた竜二が、低い声で答える。
「先に仕掛けてきたのは、お前らだろう。あの人に伝えておけ……俺を連れ戻したかったら、あんた自身が頭を下げてやってこいってな」
「こ、このォ……ッ!」
下っ端の一人が、たちまち額に青筋を立てる。
「優しく扱ってやりゃあ、チョーシに乗りやがって!」
殴りかかってきておいて優しくもヘッタクレもないのだが、一方的にやられているのは男達なのだからして、そう叫びたくなる下っ端の気持ちも判らないではない。
「よせ……!」と制する男を無視して、無謀にも飛びかかっていった。
だが威勢良く振り回した拳は空を切り、次の瞬間には「うごォッ!」と呻いて道路に這いつくばる。
土手っ腹に一撃くらい、あっけなくノックダウンしたものらしい。
また一人手駒を失い、説得していた男の額に汗が浮かぶ。
自転車をタックルで止めて袋小路に追い込んだまでは良かったが、そこから先が良くなかった。
説得に応じない竜二を力尽くで連れ戻そうとしたが為に、怪我人の続出である。
もう、部下は意地になっている。
男が止めたところで言うことを聞くまい。
迂闊に飛びかかったりする者こそいないが、皆、ジリジリと包囲網を詰めていく。

緊迫する空気――を、ぶち破ったのは、男でも竜二でも下っ端のチンピラでもなく。

「竜二〜!やっぱ竜二じゃん、何してんだ?」
場違いなほど、あっけらかんとした光一の登場であった。
勢いよくチンピラを突き飛ばし、竜二に抱きついてくる。
抱きつかれた方も、呆気に取られて彼を見つめた。
「こ、光一……さん?どうして、ここに」
「竜二こそ、こんな行き止まりで何やってんだ?あ、わかった!なんかの密会?なーんてネッ」
お茶目にウィンクする光一を、唾を飛ばして下っ端の一人が怒鳴りつける。
「いっ……いきなりやってきて、なんだ?テメェはァ!?」
光一に突き飛ばされた奴だ。
眉を逆さ八の字につり上げてキレまくっている処を見るに、相当おかんむりの様子。
「それがさ、大河さんの財布の匂いを追っかけていたら、匂いに混ざって竜二も見つけたんだよね〜」
竜二ではなく男に説明してから、改めて光一は辺り一帯を見渡した。
「ところで、この人達、竜二のお友達かなんか?えっらく人相の悪い人ばっか集まってっけど」
「に、匂い……?」
竜二は答える代わりに尋ねてきた。
「光一兄さん、一体何をやっていたんでさァ」
突然の乱入、それも、おかしなことを言う珍入者に訳がわからないのは男達も同じで、竜二を説得していた男が光一へ話しかける。
「あんた、竜二サンのお友達かい?悪ィが、竜二サンは今立て込んでおりやしてね」
しかし光一は全く話を聞いておらず、道に散乱したキャベツを溜息と共に拾い上げた。
「あーあ、キャベツが台無しじゃん。今、キャベツって高いんだよね〜。勘弁してよ」
かと思えば、フーフーと息を吹きかけたキャベツをポンと竜二に手渡し、自転車を持ち上げる。
「さ、帰ろ?」
なんというか、糞度胸とでもいうべきか。
否、光一の場合はKYと呼ぶべきであろう。
場の空気を全く無視した彼の行動には、竜二もついていけていない。
「え……と、その」
なんとか言葉を絞り出し、そろそろと切り返す。
「財布がどうの……と言ってましたが、そいつぁ、何なんです?」
途端に「あ〜!」と光一が叫びだすもんだから、竜二を含めた男達は、またしても仰天させられた。
もう、なんなの、この電波。
なんでもいいから早く、キャベツと自転車を持って帰ってくれ。
ゲンナリ顔の並ぶ中、ただ一人マイペースに光一が独り言を騒いでいる。
「そうだ、財布財布!財布を取り戻しにきたんだった」
ポンと手をうち、光一は改めてヤクザ風味の男達を見渡した。
「というわけで、大河さんの財布を取った奴は素直に出すように!」
そう言われて、ハイそうですかと返すバカは居ない。
当然のように彼らがブチ切れて、口々に汚い罵倒を吐きかけるのを横目に、光一は竜二へ囁いた。
「えっと念のため、もう一度聞くけど、こいつら竜二の友達じゃないよね?」
「えっ……え、えぇ。違います」
かつての身内であり、よく知った顔でもあったが、竜二は即座に頷き返し。
「よーし!そんじゃ全員ノックダウンさせてから、懐を探してみっかぁ!」
両手の指をボキボキと鳴らしながら、光一は威勢良く叫んだのだった。