夜に咲く花
概要
この作品の試み:特にないです
この作品の見所:雑魚モブのような最下層の住民が最大のラスボス
面白くなってくる話数:面白い場面なんかあったかしら……全体的に重たい
「aqua」と同じ時期に書いた、ひたすら暗くて重たい物語。
最初から最後まで救いが全くない上、サッドエンドです。
作品topとラストにある「その花を見るのは、きっと難しくないのだろう。だが、わたしには、それが見えるだろうか」というのはウォートリアの独白で、変わってしまった自分への自嘲と、違う生き方をしてみたかった後悔の念。
ストーリー解説
前半は虐待から逃げてきたダニスと賢者の出会い、量産型と特注品の違いなど。工場生産は男の子バージョンと女の子バージョンとで製造レーンが分かれており、オージの担当は男の子レーンでした。年がら年中コンベアを流れる人形の動作確認を機械の如くやっていりゃ自動人形に何の愛着も持てなくて当然でしょう。まぁでも自動人形への反応は、オージのほうが一般的です。だから賢者は「丘の上の変わり者(陰口)」とか言われていたわけで。
後半は戦争が始まりそうな気配の中、ダニスを奪還しに来たオージvs絶対に渡したくない賢者のガチバトル、ファイッ!多少扱いに不満があったにしろ、ダニスはオージに対して死ねとまでは思っておらず、言ってしまえばオージへの憎しみ自体もオージが自分へ向けてくる愚痴を鏡に写したようなもので、実際には理解できていませんでした。なのでダブルK.Oな結末にはショックを受けましたし、自分が逃げ込んだせいでオージを呼び寄せてしまった自責もありました。ダブルショッキング。
ハロウィンifは、そんなダニスへの救済です。命をかけた花いちもんめが始まったのは二人の大人による意地の張り合いでしかなく、断じてダニスのせいじゃない。そういうことが言いたかった短編。ジャーマターは、お疲れ様。
登場人物解説
ダニス:虐待から人間への憧れを持った自動人形。ダニスの冒険はオージの家から賢者の家までの短距離でしたが、外に出て良かったと言えなくもない。少なくとも、普通に中流家庭に買われていったり、オージの元で暮らし続けていたら、知り得なかった貴重な体験をしたのですから。他の自動人形よりは人間への理解が進んだんじゃないかと思います。
ウォートリア:ジャーマターと出会いジャニアと住むようになって多少は性根がクリーンになったと自分では思っていたけど、やっぱり本性は戦争で焼け焦げたままでした。戦争経験者にして親が革命家という過酷な体験を乗り越えておりますので、オージよりは精神的に成熟しています。が、同時に自殺志願者でもあったので、このような結果になってしまいましたΩ\ζ°)チーン
オージ:万年貧乏工夫。前の戦争が起きた時には生まれていましたが、低賃金低価格販売の量産型町工場とは関係ない話でした。戦火で燃えたのもウォートリアやエクサリスのいる貴族周辺でしたし。この世界は一生を同じ身分で過ごすので、万年貧乏が貴族と和解できるはずもなくガチバトルは必然でした。そも背中を尖ったものでぶっ刺されたら私でも許すの無理(笑)
ジャーマター:全ての中立的立場にいる天然人形師。戦争の余波で捨て鉢になっていたウォートリアやエクサリスに生きる希望を与え、自動人形からも好かれている世界のアイドルです。彼の心の中には咲いているんじゃないですかね、花。